大畑亮介

計画無痛分娩、自然無痛分娩、普通分娩の違いについて考えます。出産方法の種類ごとの痛み、メリット、デメリットは何でしょうか。妊娠から陣痛、分娩までの流れも見てみましょう。~大畑亮介・リトリート編集部

出産方法の種類「普通」「無痛」「計画無痛」

主産の方法を「痛み」という観点から見ると、「普通分娩」と「無痛分娩」に大別されます。 さらに、無痛分娩は「計画無痛分娩」と「自然無痛分娩」に分けられます。

■ 出産方法の種類
呼称 意味
普通分娩 自然の陣痛を待ち、薬剤で痛みを緩和せず出産する従来の分娩
計画無痛分娩 あらかじめ分娩日を決め、計画的に行う無痛分娩
自然無痛分娩 自然陣発を待ち、陣痛が始まったところで麻酔を開始する無痛分娩

無痛、計画無痛、普通分娩の「メリット」

普通分娩と無痛分娩には、それぞれにメリットとデメリットがあります。 それぞれのメリットとデメリットを比較しながら、妊婦さんとその家族が選ぶことになります。

■ 出産方法ごとのメリット
種類 メリット
普通分娩
  • 自然の摂理に沿った出産ができる
  • 器械分娩や陣痛促進剤を使用するといった医療介入が少ない
  • 陣痛を乗り越えた達成感が味わえる
  • 分娩費用が安く抑えられる
計画無痛分娩
  • 出産予定日がおおよそ決まるため心の準備ができる
  • 家族がお産に立ち会いやすい
  • 入院する部屋や分娩室の希望が叶いやすい
  • 時間外分娩の可能性が低い
  • 妊婦のストレスが少ない
  • 痛みをコントロールできるため、痛みに弱い人に向いている
  • 緊急帝王切開になってもスムーズに移行できる
  • 体力の消耗が少ない
自然陣発を持つ無痛分娩
  • 自然に近いタイミングで出産できる
  • 陣痛促進剤を使わずに済む場合がある

無痛、計画無痛、普通分娩の「デメリット」

■ 出産方法ごとのデメリット
種類 デメリット
普通分娩
  • 強い痛みに耐えなければならない
  • 出産日の予定が立たないため、時間外分娩になる可能性が高い
  • 緊急帝王切開になった場合は、お産の途中から麻酔をしなければならない
  • 体力の消耗が激しい
  • 途中で無痛分娩を希望すると割高になる
  • 希望の部屋への入院が難しいことがある
計画無痛分娩
  • 陣痛促進剤をほぼ100%使用する
  • 人によっては麻酔薬の副作用を感じる
  • 器械分娩を行う可能性がある
  • 無痛分娩の料金が別途かかる
  • 医療介入が増える
自然陣発を持つ無痛分娩
  • 陣痛が進まないと入院が長引く
  • 出産が重なると希望の部屋に入院できないことがある
  • 24時間365日無痛分娩に対応する医療機関を選ばなければならない
  • 急に陣痛が進むと麻酔が間に合わないことがある

計画無痛と自然無痛の出産までの流れ

■ 無痛分娩の出産までの流れ(種類)
時期 種類 病院での診療・処置内容
妊娠37週以降 事前に出産日を決める計画無痛分娩 予定した分娩日の1~2日前に入院し、無痛分娩の準備を開始する。
出産予定日近くに入院日を決める無痛分娩 子宮口の開き具合などを検診でチェックし、分娩が可能な日を予測し入院日を決め、入院後は無痛分娩の準備を行う
自然陣発を持つ無痛分娩 普通分娩と同様の検診を行う
分娩 事前に出産日を決める計画無痛分娩 予定した分娩日に陣痛促進剤と硬膜外鎮痛による麻酔を使って無痛分娩を行う
出産予定日近くに入院日を決める無痛分娩 入院翌日に陣痛促進剤と硬膜外鎮痛による麻酔を使って無痛分娩を行う
自然陣発を持つ無痛分娩 陣痛の間隔が初産婦で10分、経産婦で15分程度になったら入院し、陣痛に合わせて無痛分娩を開始する